2017年04月01日

「塩分は体に悪い」勘違いの健康常識

「和食はいいけれど、塩分が多すぎるから体に悪い」と言う人がいます。
 しかし、それはおかしな話です。
極端なことを言えば、塩分に欠ける食事は本当の和食ではありません。
 塩分と和食とは切っても切れない関係にあるのです。
 日本の夏は気温も湿度も高く、放っておくと食べ物がすぐに腐敗して食中毒を起こしゃすい環境です。そこで、腐る前に発酵させて保存性を高めようとしたのが日本人の素晴らしい知恵でした。


 発酵には塩が欠かせません。アルコールや納豆以外は、ほとんどすべてが塩を必要としています。しかも、日本は周囲の海から塩がいくらでもとれます。そうした自然の恵みによって、和食は発展してきたのです。
 たとえば、畑で収穫した野菜を、水をはった樽に入れておいただけでは、すぐに腐ってしまいます。しかし、そこに塩を入れることで発酵がはじまり、長期の保存ができるようになります。味も深くなり、栄養価も高まっていくのですから、一石二鳥いや三鳥といってよいでしょう。
 しかも、海の水からとった本来の塩は、マグネシウムや亜鉛、鉄分などが含まれており、ほかの食品ではとりにくい微量元素が摂取できるという長所があるのです。
 そもそも、塩分は本当に体に悪いのでしょうか。塩分は高血圧を招くという考えが、かなり以前から言われてきましたが、それは必ずしも正しくはありません。健康な人にとって、少しぐらい多く塩分をとっても、それほど血圧には関係ないのです。
 あらかじめお断りしておきますが、心臓や腎臓に疾患のある人など、病気が原因で塩分をとってはいけない人はいます。そうした例外を取り上げて、健康な人も塩分をとらないほうがいいと一般化してしまうのは、誤った情報と言うしかありません。
 それを言ったら、アレルギーのために小麦やそばを食べてはいけない人もいますし、タンパク貿の摂取を厳しく制限されている方もいます。「塩分は体に悪い」というのは、そうした例外を持ち出して、一般の人に「小麦やそばは体に悪い」「タンパク質はとらないほうがいい」と言うようなものです。
 ですから、とくに病気のある人以外は、ほとんど気にしなくてもいいというのが結論です。最近の研究では、食塩の摂取と血圧の上昇は必ずしも関係していないということがわかってきました。
 人間には、血圧が塩分に敏感に反応するタイプ(食塩感受性)と、そうでないタイプに分かれ、日本人の場合、前者の割合は約2割と言われています。ということは、多くの人の場合、塩分を減らしても血圧には関係ないということになるわけです。
 もち.ろん、食塩感受性のタイプの人は、塩分のとりすぎに注意をしたほうがいいでしょうが、それを一律に全員に当てはめるのは科学的ではありません。これまでのように、全員に減塩をすすめるのは意味がなく、必要な人に絞って注意を促すべきでしょう。

夜食の時間に夕食をとっている現代人


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Posted by wing101 at 18:51 │NEWS